AWS認定ソリューションアーキテクトになりました(アソシエイト)
久しぶりに資格試験を受けてきました。たぶん6年振りくらい。無事に合格しました。(内心ホッとしています…)
せっかくなので、人を真似して受験体験記のようなものを記録しておきます。これから同じ試験を受けるかもしれない人にとって、少しでも参考になれば幸甚です。
1. AWS認定ソリューションアーキテクトとは
Amazon Web Services (AWS)の各種サービスの特徴を理解し、オンプレ環境ではなくAWS(クラウド)環境において可用性・コスト効率が高いシステムを設計・構築できるかどうか。そのための知識とスキルを問われる試験です。開発というよりかはインフラ系の試験ですね。この試験には、アソシエイトレベル < プロフェッショナルレベル と2段階のレベルがあります。ちなみに今回受験したのは、このうちアソシエイトレベルです。
情報処理技術者試験のような国家資格ではなく、いわゆるベンダー試験です。その点ではAWSにロックされる認定資格ですが、クラウドインフラサービス(IaaS / PaaS)としてはAWSは先頭をゆくサービスなので、AWS環境に限らず高可用なシステムを構築する上では知識の汎用性もあるのではないかと思います。
この認定試験の想定受験者像や試験実施概要など、AWS公式の内容は以下をご覧ください。
https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-associate/
このほか、AWSの運用・管理に特化した「AWS認定SysOps」、AWSを活用した開発に特化した「AWS認定デベロッパー」という試験もあります。
2. 実際に受験してみた所感
本試験問題は正直、難しかったです。ひととおり解いた後も「これは…五分五分か?」というドキドキ感がありました。自分の理解が怪しいところ、経験が乏しいところをうまく痛い感じでつつかれた気がします。合格できたからこそのポジティブ意見だとは思いますが、難易度も調整された良い試験だったと思います。合格ラインは 6.5割程度らしいのですが、自分の結果は 7割程度でやっぱり余裕無かったですw
AWSを普段から使用していれば合格する、というものでもなさそうです。AWSのベストプラクティスに則った考えができるかどうかが試されますし、単純にサービスの知識としても細かい部分まで問われます。試験自体は多肢選択式なので、情報処理技術者試験などの記述式の試験に比べればとっつきやすい印象がありますが、試験対策向けの書籍などが少ないので難易度も下がりにくい試験だと思います。
3. 勉強方法
試験の出題範囲としては、AWSサービス全体(+基本的なネットワークまわりのIT知識)になると思います。ただ、サービス全体となると正直かなりボリュームがあります。試験対策として考えるならば、重要視されるサービスや分野があるのでそこに的を絞ることが効率的だと思います。 受験に向けての準備期間は約1ヶ月ありましたが、その期間で自分が勉強した方法を簡単に以下にまとめてみます。
■ 参考書籍
合格対策 AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト
この本はおすすめです!試験対策と銘打った書籍は少ない(というか無い)と書きましたが、自分の知る限りではこちらが唯一の試験対策本です。内容も各サービスのポイントがわかりやすく書かれているので、AWSの全体像を把握するのに役立ちます。この本に記載されている範囲を中心に学習を進めると効率的かと思います。
Amazon Web Services 定番業務システム12パターン 設計ガイド
また、合わせて上記の本もざっと読んでおきました。対策本だけだと各サービス毎の知識に偏ってしまうので、各サービスを活用したシステムパターン(ユースケース)を学習する意味で読んでおいてよかったです。
■ 公式資料
上記書籍の他に、やはり公式のドキュメントは外せません。以下にまとめてある AWS公式の Black Belt シリーズはひととおり読んでおきました。書籍 → Black Belt の順で読み進めると理解しやすく、復習にもなったのでおすすめです。
https://aws.amazon.com/jp/aws-jp-introduction/
特に、以下のサービスとそれぞれのユースケースは重点的に学習しておいたほうが良いです。実際に受験してみて、特にユースケースの知見が不足していたことを痛感しました…。(実務での経験も多く無いので当然といえば当然なのですが…)
▼優先的に把握すべし
EC2
ELB
AutoScaling
EBS
S3
CloudFront
Glacier
RDS
DynamoDB
ElastiCache
VPC
Route53
CloudWatch
IAM
SQS
▼余力があれば把握すべし
Storage Gateway
Redshift
Direct Connect / VPN
CloudFormation / Elastic Beanstalk / OpsWorks
EMR
Kinesis
■ AWSを実際に試す
あとは、やはり実際にAWSを触ってみて設定方法や挙動を確認してみました。個人のアカウントで試すことがほとんどだと思うので、複雑な処理のシステムを簡単に試すというわけにはいかないかと思いますが、以下のような内容は実際に試してみて、なるほど!となりました。
- ELBで分散させてみる
- Auto Scaling で スケールアウト / イン させてみる
- S3 と Cloud Front でコンテンツにアクセスしてみる
- RDS を Multi-AZ で立ててみる
- プライベートサブネットから NAT経由で通信させてみる
■ 練習問題
最後に、試験に備えて練習問題を解きたいところですが、AWSの認定試験は過去問題なども一切出版はされていません。有料ですが(2,160円)AWS公式の模擬試験がWebで受験できるので、これは絶対に受けてみたほうが良いです。模擬試験も結果しかわかりませんが、分野ごとに正答率が出るため苦手分野がわかります。自分は本試験の1週間前くらいに受けてみて、ラスト1週間を苦手分野などの調整に当てました。あとはAWS公式ページにサンプル問題がPDFで置いてあります。数問だけですが、これをソリューションアーキテクト用だけでなく、SysOps や デベロッパー のサンプルもすべて解いてみることをおすすめします。
AWS公式の講座もあるようですが、これは受講していません。金額が高いので会社補助などが無いと厳しいですね…。
4. 個人的に感じた受験のポイント
なんとなく、この試験を受験した上で自分なりに感じた注意点といいますか、ポイント?のようなものを何点か共有しておきます。
- 問題文が直訳のように感じることがある(このためか、やや状況説明不足のように感じる問題もあるかも)
- 正解だ!と思うものも見直したほうがよい(わずかな名称の間違いや引っ掛けのような問題もあるかも)
- 問題文を読んで構成図をイメージする(当たり前か…)
- AWS各サービスのスコープを意識する(AZ?リージョン?グローバル?)
- 各サービスのユースケース(ベストプラクティス)まで把握する
- 模試の結果は(たぶん)やや良く出るので油断しない(ちょっと油断しましたw 本試験が難しくて焦りましたw)
ソリューションアーキテクト合格 = AWSで設計がバリッとできる!とはならないと思いますが、少なくともAWSの各サービスの知識、AWS(クラウド)を利用する上でのシステム設計思想は習得できたんじゃないかな、と思います。あとはやはりAWSの実践と、次々と更新されるAWSの新情報をキャッチし続ける必要がありますね。また個人的には、サーバレスアーキテクチャというフレーズも最近よく耳にするので、Lambda まわりの理解も深めていきたいところです。
※上記記載の内容は2016年9月時点の、かつ主観的な内容です。特に試験については実際と大きく異なる可能性もあります。
こちらのらくがきもどうぞ。
関連記事
-
LINE Messaging API と AWS Lambda で LINE BOT を作ってみた
手段「これってもしかして」 目的「私たち」 「「入れ替わってる〜〜〜〜?」」 — みすま
-
Serverless Framework を使えばサーバレス開発がもっと楽しくなりそう
前回、AWS Lambda を使って LINE の Bot を作ってみましたが、実は正直、L
-
Oracle Cloud で仮想サーバを立ててみた
クラウドのインフラサービス(IaaS)というと、普段はやはり Amazon Web Services